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2024年 欧州近自然川づくり調査報告

2. 欧州河川調査について

顔写真
株式会社ニュージェック 顧問 竹島 睦

要約

はじめに

私は足立敏之参議院議員の秘書をしていました。 昨年末に足立議員が急逝し、この報告会も5か月ほど延期になり、大変御心配、御迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

足立議員は、2019年、23年、24年とこの調査の3回全てに同行しました。 そこで足立議員が何を感じ、何を皆さんにお伝えしたかったのかについて紹介させて頂きます。

2019年の調査

2019年の調査(図1)では、主にドイツ、スイスを回りました。 ドイツではアルトミュール川、アルトミュール湖、ミュンヘン近くのイザール川、次にガルミッシュ=パルテンキルヒェンでロイザッハ川を回り、河川の再自然化等を視察しました。 次にスイスとドイツの国境付近にあるボーデン湖の再自然化、さらにスイスのチューリッヒに移動して、トゥール川周辺の再自然化、チューリッヒ湖から流れ出るリマト川の再自然化を視察しました。

図1 2019年の調査

2023年の調査

2023年の調査(図2)では、ドイツ、スイスを中心に、アールガウ州のリートハイム村、ライン川の合流部トゥール川、タールハイム村、ライン川周辺の再自然化、オーベンクシュトリンゲン村でリマト川の再自然化について視察をしました。

図2 2023年の調査

次に、ウーリ州のロイス川の治水対策を視察しました。 湖のほうに流れ込むロイス川に並行して高速道路が走っていますが、ロイス川が増水したときに、越流部から高速道路に洪水を流し、高速道路を放水路として使う仕組みで、高速道路に沿って洪水防御壁があり、さらにその外側にも洪水防御壁があって、多重防御の形で守っています(図3)。 ここは足立議員の印象に強く残ったようで、その後様々な機会に紹介されていました。

図3 ロイス川の洪水対策

2024年の調査

昨年2024年の調査では、チューリッヒ周辺のジール川の治水対策、上流部のリント川、イン川を視察しました。 この時は私も同行しましたが、再自然化が治水対策と一緒に行われているということを大変興味深く拝見させて頂きました。

ジール川では、大きな流木止めを設置したり、チューリッヒ湖まで放水路トンネルを抜いたりしていました(図4)。 また、チューリッヒ中央駅の真下の暗渠をジール川が流れており、治水対策として暗渠をかなり掘り下げるという対策が採られたと聞きました。

図4 スイスの治水対策

足立議員の思い

調査の結果は、足立事務所でとりまとめ、様々な機会に紹介していますが、その中でも特に足立議員の思いが込められているところを抜粋して紹介します(図5)。

図5 足立議員の主なコメント

2019年の調査ではモバイル・レビーや耐水型住宅などの多様な選択肢の準備、2023年の調査ではロイス川の高速道路を活用した多重型の防御、これらを日本にも取り入れてはどうかといったことを述べています。

2024年の調査では、リント川とイン川で治水対策と近自然川づくりが一体的に実施されていることや、1/300の超過洪水対策に取り組んでいることから、日本もスイスを見習って、流域治水の考え方を進める中で、超過洪水対策やネイチャーポジティブなど新たな課題にも取り組んでいってほしいといったことを述べています。

足立議員は調査の後、自分がいいなと思ったことが皆様にどうやれば伝わるかということに腐心され、それを政策に取り入れてほしいという強い思いで報告書を作ったり、メルマガ等で発信したりしていました。 これまで足立事務所が中心になって5冊の本を出版していますが、次は環境の本を出したいと言われていましたので、このような成果も活かしながら、検討して頂きたいと考えています。


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